2010-05-24

小さなチーム、大きな仕事—37シグナルズ成功の法則

小さなチーム、大きな仕事―37シグナルズ成功の法則 (ハヤカワ新書juice)
ジェイソン フリード, デイヴィッド・ハイネマイヤー ハンソン / 早川書房 / 売り上げランキング: 1125
おすすめ度の平均: 4.0
5 目的と手段のボタンの掛け違いに気がつきます
4 シンプルイズベスト
5 スモールビジネスを成功に導く良書
3 斬新でシンプルで、会社の作り方、仕事の進め方が提案されている。
5 純粋にに普通に突き詰めた、シンプルな解かと。
posted with amazlet at 2010.07.17

という本の備忘録。

37シグナルズ社の経験をベースに、小さい規模でシンプルに利益をあげていくソフトウェアビジネスについて述べられている。

37シグナルズ社とは:

  • オープンソースのWebアプリケーションフレームワーク「Ruby on Rails」を開発したことで知られる
  • 1999年スタート。もともとWebデザインの会社だったが、2004年にWebベースのプロジェクト管理ツール「Basecamp」を公開して以降、Webアプリサービスがメインビジネスとなった。プロダクトは世界中で300万人以上の人たちに利用されている
  • 株式未公開、売上数百万ドル
  • 社員は2大陸の8都市に散らばっている16人(2009年夏現在)
  • 週休3日制
  • 最初に出版した本「Getting Real」が無料公開中
※写真はオフィス風景。Photos of 37signals HQ - (37signals)より引用

以下、本書からの引用とメモ。
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p.16
失敗から学ぶことは過大評価されている
ハーヴァード・ビジネススクールのある調査によると、一度成功した起業家は次もうんと成功しやすい(次に成功する確率は34パーセント)。しかし最初に失敗した起業家が次に成功する確率は、はじめて起業する人と同じでたったの23パーセントだ。一度失敗している人は、何もしなかった人と同じくらいにしか成功を収めていない。成功だけが本当に価値のある体験だ。

p.18
計画は予想にすぎない
長期計画を立てる時期も間違っている。何かをしているときこそ、最も情報が豊富なときだ。する前ではない。... 予想をたよりにしてはいけない。今年ではなく、今週することを決めよう。次にやるべき最重要課題を見つけ出して、取り組むのだ。何かをするずっと前ではなく、直前に決定を下そう。

p.27
何かをするなら、重要なことをしよう。有名でもない彼らは、どこからかやってきて、何世紀も続いた古いモデルを破壊した。
→昔からある古いモデルで、まだ破壊されていないものには何がある?

p.30
あなたに必要なものを作る
「自分自身の問題を解決する」アプローチでは、作り手は作るものと恋に落ちる。問題をよく知っているだけでなく、解決の価値もよく知っている。これは何ものにも代えがたい。しまいには、何年も(願わくば)このために働くことになる。もしかすると残りの人生ずっと。だから本当に気にかけられることにしたほうがいい。

p.32
「時間がない」は言い訳にならない
何か本当にしたいことがあれば、他にやることがあろうとも時間を作る。... 完璧なタイミングのことばかり考えていても、それは絶対にやってこない。

p.33
すばらしいビジネスは単なる製品やサービスではなく、「視点」を持っている。

p.45
別れることを考えて異性と付き合うのか?... 必要なのは、出口戦略ではなく関わっていくための戦略だ。

p.51
制約を受け入れる
一度にサービスに携わる人間は、一人もしくは二人だけにしているのだ。そして、常にサービスの機能は最小限にとどめている。このように自身に制約を課すことで、あいまいな形のサービスを生み出さないようにしているのだ。

p.51
中途半端な一つのものより、とてもよくできた半分の大きさのものの方がいい。
一度見通しを立てると、すばらしいアイディアのほとんどはそこまですばらしいものではなくなる。もしそれらのアイディアが本当に魅力的なものであれば、後からでもやることができるはずだ。
多くのものは小さくすればするほどよくなる。

p.53
芯から始める
芯の部分を見つけ出すのだ。どの部分が切ってはいけないところなのか?これやあれがなくてもやり続けていけるのであれば、それらの部分は芯ではない。それを見つけたとき、「それだ」と思うだろう。そうしたらその部分を最大限に引き出すべく、エネルギーをすべて注力するのだ。

p.61
変わらないものに目を向ける
多くの会社は「次の大きなこと」に目を向けている。人気が急上昇しているもの、新しいものに金をつぎ込み、最新のトレンドや技術に飛びつくのだ。
それは愚かな戦略だ。ものそのものではなく、流行という常に変わり続けるものだけに焦点を絞ることになる。
ビジネスを立ち上げるなら、その核は変わらないものであるべきだ。人々が今日欲しいと思う、そして10年後も欲しいと思うもの。そうしたものにこそ力を投入すべきだ。

p.64
副産物を売る
何かを作る時、実は何か別のものも生まれている。決して生まれてくるものは一つではないのだ。どんなものにでも副産物がある。すぐれた洞察力を備え、創造的なビジネス・マインドを持った人は、こうした副産物に着目し、チャンスを見出すのだ。

p.71
やめたほうがいいものを考える
なぜ行うのか?
どういった問題を解決するのか?
これは本当に役に立つのか?
なにか価値を加えているか?
それは行動を変えるのか?
もっと簡単な方法はないのか?
かわりに何をすることができるのか?
本当にその価値があるのか?

p.92
あなたの見積もりは最悪だ
時間枠はより小さなかたまりへと分解し続けよう。一つの12週間のプロジェクトの代わりに、それを12の一週間のプロジェクトへと組み替える。30時間以上かかるタスクの見積もりを考えるのではなく、まずはより現実的な6から 10時間のかたまりにタスクを分解する。

p.108
競合相手が何をしているかなんて気にしない
もしあなたがアイポッド潰しの商品、または次のポケモンを生み出すことを企画していたとしたら、すでに失敗している。あなたは競合他社が特色を強めるのを後押ししているも同然だ。あなたはアップルよりもアップルらしくすることはできない。彼らはゲームのルールを握っているのだ。そしてルールを作っているものを打ち負かすことはできない。あなたは少しだけ良いものを作るだけでなく、ルールを再定義しなくてはいけない。

p.109
基本的に「ノー」と言おう
顧客の言うことを聞いていたら、もっと速く走る馬を彼らに与えていただろう。 ヘンリー・フォード
...
あなたのゴールは製品があなたにとって正しいものであり続けることだ。あなたが最もそれを信じなくてはいけない。だからこそ「僕はこれが気に入っているから、君もこれが気に入ると思うよ」ということができるのだ。

p.113
顧客を(あなたよりも)成長させよう
何人かを満足させるために上級者向け機能を加えることは、まだ慣れていない人たちを怖気付かせてしまう。新規顧客を恐れさせて遠ざけてしまうことは、昔からの顧客を失うことより悪いと僕らは考える。
顧客があなたを追い抜けるようにすると、ほとんどの場合、基本的な製品に行き着くだろう。それで構わない。小さくて、シンプルで、基本的なものへのニーズは不変だ。まさにそれを必要としている顧客の供給は際限なくある。
そして常に、あなたの製品を使っている人よりも使っていない人のほうが多く存在する。こうした人たちが使い始めることができるように簡単になっていることを確かめよう。そこに絶え間ない成長のカギが眠っている。
人も状況も変化するため、全員に対してすべてを提供することはできない。あなたの会社はニーズがころころ変わる特定の個人よりも、あるタイプの顧客に忠実である必要がある。

p.115
熱意を優先順位と混同するな
「すばらしいアイディア」はしばらく棚に上げておこう。多くの「すばらしいアイディア」を思いつくことはいいことだ。ひらめきに刺激され興奮することもいい。だが、瞬時の熱意に押されて行動してはいけない。アイディアを書き留めて、何日か棚に上げておこう。落ち着いてから、そのアイディアの優先順位を評価してみるのだ。

p.117
顧客の声を書き留めてはいけない
顧客が求めているものをどのようにして追跡し続ければいいのだろうか?そんなことはしなくていい。顧客には耳を傾けるが、そのあとは人々が言ったことは忘れてしまうほうがいい。
あなたがいつも忘れているなら、それは重要ではないというサインだ。本当に重要なものは消えてしまったりはしない。

p.130
プレスリリースはスパム
プレスリリースは忘れて電話をかけよう。もしくは個人的に手紙を書こう。もし似たような企業や製品の記事を見つけたら、それを書いた記者に連絡を取り、自分の情熱や興味を伝えるのだ。意味あることをし、自分を目立たせ、忘れられない存在になる。それこそが最も価値あるニュースにつながる。

p.148
「自分マネージャー」を雇う
自分をマネジメントできる人は、自身の目標にもとづいて実行する人だ。彼らはあれやこれやと指示を必要とせず、毎日の細かなチェックも必要としない。彼らは、管理職がやること(歩調を合わせて、仕事を割り当て、仕事に必要なものを決める)を、自分で自分のためにする。
彼らと働くのは楽だ。彼らは、自分の方向を打ち出す。彼らを放っておくと、いかに彼らが仕事をこなすか驚くだろう。彼らは、必要以上の指示やマネジメントを必要としない。
そういう人たちをどう見つけるか?彼らのバックグラウンドを見てみることだ。彼らは仕事にどのように取り組むかいろいろ試行錯誤しただろうか。彼らは何かを独力で行っただろうか。何かのプロジェクトを立ち上げただろうか。
雇うべき人というのは、ゼロからプロジェクトを立ち上げてやり遂げるような人だ。
→ そういう人になる

p.162
人が文句を言うときは、しばらく放っておくことだ。聞いていることを示し、不満を理解していることも知らせよう。だが、しばらく様子を見てみたいとはっきり言うことだ。たいていの場合、人はいずれ自分たちで変化に適応する。一回新しい方針に慣れればその方が前より良いと思うものだ。

p.168
5時に帰宅させる
大会社の何倍もの時間が必要なのではなく、より良い時間が必要なのだ。
何か家でやらなければならないことがあればあるほど、人は会社で仕事をする。人がオフィスで仕事を終わらせるのは、他にいなくてはならない場所があるからだ。必要があれば人は効率のいい方法を見つける。
何かを終わらせたければ最も忙しい人に頼む

2 件のコメント:

Unknown さんのコメント...

37Signalsいいよね。
うちの会社もよくモデルケースとして学んでること多いです。

Katsunobu Ishida さんのコメント...

おお、そうなのか。興味深いな。

そういえばこの前の「まだ始まってもいねえよ」飲みでkatsumaが将来どういう会社にいるか、っていう話のとき、この会社のこともイメージしてたんだよね。とふと思い出した。